私が住宅を設計する際に考えている事がある。
住宅は単なる箱ではなくて、家族と共に育む家であってほしい。
こんな嬉しい事がありました。
私が独立して最初の頃に設計した家族のお子様が、建築学科に入学したとの事。
話を聞くと、その時作った家がとても好きで、また私の姿を格好良く思っていたとの事。
当時を振り返ると、ご夫婦と打合せをしている横から、すごく恥ずかしそうに模型を眺めていました。
次の打合せにまた違う模型をもって行くと、前回の模型を壊してしまったと涙を流してもってきました。
壊したわけではなさそうで、彼なりに頑張って違う案を考えていたのです。
工事期間中にも興味深げに嬉しそうでした。
完成して走り回る子供達の声が吹き抜けを通して聞こえます。
その家は家族の毎日の生活のシーンを物語として考えて、その物語を形にしました。
物語の続きがこうなるとは思いもよりませんでした。
私の格好良さは言う迄ありませんが(笑)、その家によって何か伝えられ育ってくれたのだと思います。
では、そんな私はどうなのか?
私の実家はごく普通の家でしたが、小学校1年生の時に平屋の家に二階を増築しました。
毎日出入りする大工さんや職人さん。
そして、小学校の屋上から山の上の「僕ん家」の真っ青な仮囲いが見えたのです。
きっとこれが私の原風景です。